| ま え が き (第一回全日本医師庭球大会） 字賀田 時生 急患といえば何を措いても馳けつけねばならず，重患ともなればそれこそ寝食を忘れての心労苦労，ただこれも天職と心得て黙々と診療にたずさわっている臨 床医家の間にも，並びに日本医学界を双肩に背負って研究室にたてこもり，日進月歩の医学の研鑽にこれ努めている基礎医学の人々の間にも，真に寸暇を偸んで 四季とりどりに，或は桜の花散る下或は盛夏炎熱の下，さては秋さわやかな昼さがり，また厳冬無風の好日，なつかしのコートにおり立ってテニスを楽しむ同好 の友が近年目立って多くなって来ている。まことに国家百年の計のためにも，慶賀に堪えないところと云わなければなるまい。 東日本医師庭球連盟が発足してここに3年目を迎えるに当り，西日本殊に九州方面においては，すでに医師庭球人をもって大会を開催すること十数回の多きに 及び，今や各県医師会を単位とした渾然たる大団結が組織されていることは，ご承知のお方も多いことと思う。その九州から山陰・山陽・近畿また海をへだてて 四国地方とそれぞれに，打てば響かんばかりの体制をととのえて東日本側の立ちあがりを今や遅しと待っておられたとは，単なる外交的辞令では断じてなかっ た。九州の中島先生，九大学長池田先生，広島の小河先生，兵庫の宮代先生，大阪の村山先生，その他諸先生方々と数回に亘り文通並びに直接のご面談を重ねる ことによって，ここに新たに10月10日国民体育の日を期し，東日本医師庭球連盟発祥の地東京において，全日本一都一道45府県を網羅した「日本医師庭球 協会」（The Physicians’ Lawn Tennis Association of Japan）の結成が実現されよLとしている。これぞ正に日本庭球史の1ページを飾るに足りるべき未曾有の壮挙と自画自賛することさえ許されるのではある まいか。 更に今後早々に，アメリカに本部を持ち参加国すでに十数ケ国を数えている「世界医師庭球連盟」への加入をもって，テニスを通じ世界医師相互間の親善交流 を促進することが切望されるのである。一繰り返して強調したい。東日本医師庭球人の和と，西日本医師庭球人の和と，両者が渾然一体に融合して日本全体の医 師庭球人の大調和にまで発展を遂げ名実共に堂々と「世界医師庭球連盟」にその名を連ねることができるよう，皆さまとご一緒に今後益々自重努力してゆきたい と思う。 ひと言以てご挨拶を申上げ，重ねて皆さま方のご協力を希う次第である。 昭和49年10月10日 東京青山にて識す。 |