伝 説 の 人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　中島　隆司

　日本医事新報だったと思います。第8回日本医師テニス新潟大会の参加要項を目にし、キャリアー不足もなんのその「めくら蛇におじず」と参加したのが最初でした。

　パートナーは会長にお願いし、静岡の石塚先生（故人）と楽しみました。シングルスの経験は皆無にひとしくエントリーするなど無鉄砲そのもので案の定紺野 先生（故人）にこっぴどくあしらわれたことを鮮明に記憶しています。　いつも単独参加でしたので試合当日コートに立って「やあ、よろしくお願いします」と 初顔合せすることは度々でした。　作戦がどうの、気心はどうのと考えたこともなくコートに立てば心は一つ存分にプレーに集中し楽しむことが出来ました。　 それにもまして多くの先生方と親交を深めることが出来たのは何ものにもかえがたい喜びでした。　いつしか大阪の渋川先生とペアーを組み第17回岡山大会で 優勝、幸運にもシングルスでも優勝して二冠を達成したのは嬉しい出来事でした。

　2001年、第31回世界大会（福岡）では秋武先生と７０才代ダブルスで優勝したことは大変な喜びでした。　秋武先生に迷惑をかけてはと横着者が、日頃 は思いもよらないランニング、筋力トレーニングなどに・・・・・。　少しは効果があったと安堵の胸をなでおろしたことでした。

　宮村先生の国内はもとより世界大会での輝かしい戦績を知り、ロビングに始まる試合前の練習や、試合振りなど目を凝らして見ていました。　ミスは皆無にひとしく、深いボールでじっくりとしたプレーにはかくあるべしと目から鱗の落ちる思いでした。

　テニスに転向する47年頃までのソフトテニスは、体も小さいこともあって打球の強さ、速さでは太刀打出来ずミスを少なくすることに意を用いたことを思い出させられました。

　全日本壮年チャンピオン、兵庫県の国体四連覇の立役者であった等々宮村先生の素晴らしい実績を耳にし、むべなるかなと思いつつも、テニスを始められたのが36才頃であったとは半信半疑でした。

　福岡の世界大会でお会いした折開口一番昨年末手術をしたが、最近ようやく少しずつプレーが出来るようになったと楽しそうに話されました。　大会后しばら くして体調は？とお尋ねしたところ、日差しの強いなかでの決勝戦はさすがにきつく眩暈に見舞われ足が地につかずテニスにならなかった。　久し振りの敗戦に 淋しい思いをしたが、元気を取り戻して京都大会出場を楽しみにしていると、返事をいただきました。

　兵庫県テニス協会々長として神戸新聞等への寄稿文の数々をいただきました。　そのなかに神戸二中時代は野球部員としてプロ野球で活躍した別当薫、別所毅 彦、青田昇などの名選手と一戦交えたこと。甲子園クラブで36才からテニスを始め、沢松順子、和子選手へのコーチ指導に聞耳をたてて技の向上に役立てたこ と。毎日の六甲山縦走等、伝説めいた話の数々を知り唯々驚きの一語でした。

　第27回名古屋大会家族ミックスで優勝された池村辰夫先生が宮村先生の為に作詩された「伝説の人」の詩文も一緒にいただきました。　テニスに取り組まれた姿勢が誠によく表現されていると感じ、池村先生のお許しも得ず表題にさせていただき、詩も紹介させていただきました。

　以前宮村先生からダブルスパートナーに、又シングルスの対戦したいものだ（励ましであったのでしょう）と話されたことがありました。　第29回京都大会 の70才代のシングルスの第一シードに宮村先生の名を目にした時は、足もとにもおよばぬと知りつヽ対戦出来るやもしれぬと、胸躍る思いでしたが残念ながら かないませんでした。　私には文字通り「伝説の人」になりました。　体力、気力も低下するのは止むを得ないことですが「伝説の人」を思い浮かべながらプ レーを楽しみたいと思う昨今です。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　リレー随想　次は大阪の渋川登先生よろしくお願いします。